（物語）美幸ちゃん 7
健二「高田橋、来ちゃったな、相変わらず夜景がきれいだ。」
美幸「高田橋、、告白してくれた場所。そして振られちゃった場所。」
健二「ん？」
美幸「え？」
健二「あ、美幸、、ええと、近くまで来てたからちょっと寄ったんだ。それじゃあ、俺は帰るね。」
美幸「会いたかった。」
健二「」
美幸「ずっと会いたかった。」
健二「俺も、、会いたかった。あの時を、本当に後悔してたんだ。」
美幸「いいえ、私もパニックになってて、いつも以上にしつこくあたっちゃったよね。ごめん。」
健二「そんなことないよ。少し、散歩する？」
美幸「うん。」
健二「そっか、もう彼氏がいるんだね。」
美幸「あなたは？例の人とはうまくいってるの？」
健二「まあね。不自由ないよ。」
美幸「不自由ない、、」
健二「そう。わがまま聞いてくれるし、滅多に喧嘩もない。静かな毎日だよ。」
美幸「」
健二「でも、なにか、足りないんだ。」
美幸「私も。」
健二「俺ら、やり直せないかな。」
？？？「その女だれ？」
健二「え、、？！友江？？！！」
友江「その女はだれかって聞いてるんだけど。」
健二「あ、ええと、元カノってやつ、、？」
友江「別に元カノと会うな、なんてことは言わないけど、経緯と状況は説明してくれるわよね？」
健二「え、ええと」
美幸「この人怖そう。」
友江「は？泥棒ネコは黙ってなさいよ。」
美幸「え？いやいや笑わせないでよ。もとはと言えばあなたが私から健二を盗んだんでしょ？頭おかしいんじゃないの？」
友江「私は盗んでないわ。健二が選んだのよ。」
健二「ちょ、ちょっと2人ともやめてくれ！いいか友江、聞いてくれ。俺はたまたまここに来ただけだ。そうしたら偶然美幸と出会ったんだ。」
友江「どうしてここに来たの？」
健二「それは、ちょっと懐かしくなったっていうか、、」
友江「ああそう。分かったわ。じゃあ、はやく帰るわよ。」
健二「あ、うん。」
美幸「健二！どうして？さっきやり直そうって言ったじゃない！！」
友江「は？」
健二「」
？？？「美幸ー！！！」
美幸「、、辰雄？！」
辰雄「よかった、、やっぱりここにいたんだね、、はあ。急にラインの反応がなくなって、、なんだか君のことが心配になって、、それで最悪のケースを色々考えてたら、もしかしたらここにいるかもって。」
美幸「」
辰雄「それで、この方たちは？」
健二「美幸の」
美幸「彼氏。」
辰雄「え、、？」
美幸「ごめん。辰雄。私、この人と一緒になりたいの。」
友江「いい加減にしなさい！」
美幸「うるさい！！」
辰雄「ちょ、ちょっと待ってくれよ！どういうこと？！」
美幸「私は、私は、、あなたみたいなイエスマンが大っ嫌いなの！！」
辰雄「、、！！美幸違う！それは違うよ！！初めて君に会ったとき、君は、君は本当にすぐに壊れてしまいそうだったんだ！！涙もろくて、すぐに落ち込んで、だから、、そんな君を、僕だけはずっと肯定してあげようって決めていたんだ！！」
美幸「え、、？」
辰雄「君がそれを望まないなら、否定もするよ！だから、君を傷つけるような人と一緒にならないでくれ！！君が、壊れてしまう！！」
美幸「辰雄、ああ、ああ、、！ごめんなさい、ごめんなさい、、」
健二「おい他人の関係に口出すなよ！！お前が俺らのなにを知ってるんだよ！不安定だったけど、それでも成り立ってたんだよ！それがとても心地よかったんだ！！！」
辰雄「じゃあなんで美幸を振ったんだよ！！」
健二「うっ、、」
友江「このネコちゃんは寝返ったのかしら？本当に尻軽ね。コロコロ変わっちゃって、あーあ大変そうね。」
美幸「やめて！まだなにも言ってないじゃない！！」
友江「そんな優しい人がいるのに、どうせそれがつまんないとか思ってたんでしょ？あなた、クズよ。」
美幸「ああああ、、！！」
辰雄「お、おいどこ行くんだよ！！美幸！！」
健二「あいつ！高田橋に！！」
美幸「ばかばかばか健二のばか！！辰雄のばか！！その女もばか！！もう私を攻めないで！！お願い！お願い！！」
辰雄「頼む落ち着いてくれ！！だめだ飛び降りちゃだめだ！！」
美幸「もう知らないの！！知らない！！」
辰雄「お願いだやめてくれ！！前は生きてたけど今度は分からない！！暗い時間の川は視界が通らない！今度は君を見つけることができないかもしれないんだ！それに、今は真冬だろ！去年の夏とはわけが違う！本当に死ぬぞ！！」
健二「お、おいどういうことだ、、？？！」
辰雄「やっぱり知らなかったのか！！美幸は、お前に捨てられて、橋から飛び降りたんだ！！」
健二「そんな、うそだろ、、」
美幸「いいの！！もうどうでもいいの！！私が悪かったの！私が自分勝手で、優柔不断で、優しさを蹴飛ばしちゃうような最低な女だから！！もういいの！ごめんなさい！ごめんなさい！！」
健二「美幸！ばか！美幸ーーーーー！！」
友江「バカ女、、」
バチャーーン！！
健二「おいなにやってる！死にたいのか！！」
辰雄「死なせない、俺が守るんだ！！」
健二「おい！ばかやろう！！」
バチャーーン！！
次回の美幸ちゃんは「なにも分かってない」です。
お楽しみに。
