（物語）全宇宙恋愛大会-ファイナル-

「ルールは簡単、先に告白された方の勝ち。今年もこの瞬間がやってまいりました。宇宙一の恋愛バトルの覇者を決める戦いが、ついに始まろうとしています！！

まずは、、エントリナンバー12万4！！！
太陽系の覇者、斎藤勇気ー！！！！

さあ会場に入って参りました斎藤勇気、チャームポイントの黒縁メガネがいつもに増して輝いているように思えます。前回はセミファイナルで惜しくも破れ、宇宙一という称号に一歩及ばず、というところでしたが、しかしこの気迫、相当の努力をしてきたことが容易にうかがえます。今年こそ、ナンバーワンになってくれるのでしょうか！！

そして、、エントリーナンバー2京！！！
NGC5371の英雄、:3[£z~}$ー！！！！」

彼女の名前は日本語訳ができません！！さあ！お待ちかね、前回の優勝者、そして4つ前のあの波乱の大会を勝ち抜いた、まさに生きる伝説！予選から圧倒的な強さで勝ち進んできました！そして、カメラには映りません！なぜなら彼女は常温で気体だから！まさに全気体の期待を背負って、腹をくくってきました！しかし！油断はなりません！斎藤勇気の実力、これもまた、まったく5::¥-?と引けを取らないでしょう！ちなみに、私と同じ銀河出身です！誇らしい！！

それでは、両者、会場の中心に配置された椅子に座って下さい。向き合うように、50cmしか設けられていないこの2つの椅子の間の空間。ここに出現する小さな、そして熱い空間に、全宇宙の生命がどれほど入りたいと思ったことでしょう。

さあ、ついに2人着席し向き合いました。いよいよ、決戦。斎藤選手の両親も、愛知からはるばるこの東京まで、今大会に駆けつけてきました。彼女の方は、、どうやら日本人からクレームが入ったようですので、エントリーナンバーで呼ばせていただきます。2京選手の両親、というか外接する気体すべてと一身になって、大会に臨んでおります！

お二人方、準備はよろしいでしょうか、、、

整ったようです。それでは、、、
はじめ！！！！！！

さあ先手を取ったのは斎藤選手！にこにこと、素敵な笑顔！ただしかし、、目線が泳いでいるように見えます！なるほど！相手は無色透明の気体！つまり斎藤選手、いや人類は相手の目を見ることができない！これでは効果がほとんどない！！

さあ次は2京選手のターン。おっとこれは、、お色気攻撃だー！！！どこまでもナイスなバディを成すことができる！観客席は鼻血で血だらけです！！しかし、、どうした斎藤選手まったく動じません！なるほどまたしても種の差が生まれております。斎藤選手、なにも見えない！！！　　

おっと、ここで空調設備の調整が行われるようです。ええーと、どうやらいま入ってきた情報によりますと、温度が-186度まで下げられるようです。そして、斎藤選手には体温恒常バリアが付与されます。さらに、2京選手側の椅子の上にコップが置かれました。おそらくこれは、、人類が気体を見えるように調節したということでしょう。どんどん肌寒くなっていきます。さあそろそろ-186度になって参りました。ああ！先ほどまで空だったコップの中に、液体が存在しています！その他周囲にも液体が散見されますが、そこはもういいでしょう！

試合再開のゴングが鳴りました！斎藤選手、コップを凝視しています。そして、、なんと！！！スマイルからのウインクーー！！！！さあどうだ2京選手！ああなんとと！！沸騰しているーーー！！！！効いています！効果抜群でしょうか！前回チャンピオン2京選手、ただたじろいでいます！グツグツと防戦一方！いや、守れてさえいるのでしょうか！果たしてこんな展開を誰が予想できたでしょう！おおっと？2京選手空気中に気体の塊を作っています！これはまさか、、あの必殺技、告白ギロチン？！！皆さまよくご存じでしょう。2京選手は自らが気体のために、気体を操ることができますが、気体に部分的な密度の偏りを作り、それを対戦相手の発声器官に通過させることで、無理やり声帯を思い通りに発声させ、告白させるという！あの伝家の宝刀！！だがしかし、、現在2京選手は液体では、、？一体どうやって気体を作り出したんだ？？ーーーーなるほど。皆さま、沸騰です。あの沸騰、まさにチャンピオンが押されていると我々が感じていたあの瞬間、あの瞬間でさえ、2京選手は次の手段を考えていたのです、、これはもう、さすがチャンピオンと言わざるを得ません。さあそして、斎藤選手は気体の一部によって地面にうつ伏せにさせられています！その首の上の上、天高く光る、あの刃。いま！降ろされました！！！ついに決まったか、、！！！

「すうぁぁいあ！！！」

？？？な、なんということでしょう！！告白の言葉が発声されていません！！これは一体どういうことでしょうか！おおお？会場に来ている両親が号泣しています！我が子はまだ負けていないぞ！いいやこれは、、？なにか知っているかもしれません！聞いてみましょう！現場の田中さん！」
「はい！現場の田中です！斎藤さんいまよろしいですか！あの告白ギロチンが決まらないというのは、我々見たことがありません、一体全体、どうなっているのでしょうか？！」
「うちの子は、、この日のために、声帯を潰してきたんです、、、」
「な、なんてことでしょう、、げ、現場の田中でした、、」
「これは、、彼の度胸を褒め称えるほかありません。なんという信念、情熱。この大会に、すべてを賭けにきたということですか、、

熱いバトルが、まだまだ続いています。2京選手の必殺技が効かないとはいえ、まだまだ特技を残しております。そして、斎藤選手も善戦、勝負の行方はどうなるのでしょうか、、、！！！

8年後

地球の暦で言うところ、今大会開催から8年過ぎました。2京選手、斎藤選手、どちらも一歩も引かない最高の試合を続けています。

さあ斎藤選手が、、席を立ちました！筋肉アピールか？！いや違う！2京選手になにやらメッセージを送っているようです！媒体は、、LINEでしょうか！全宇宙どこでも、地球発のLINEはシェアされております。そのLINEで、なにを送っているのでしょうか！カメラさん！寄ってください！」

“2京ちゃん、僕は、この勝負、降参します。勝負とか試合とか、そんなこともうなんでもいいんです。戦いの中で、僕はもっと素直に、2京ちゃんと話がしたいと思うようになっていきました。この舞台でなにをおかしなことを言うのかと思っていますか。それでもね、2京ちゃん。人間にとって、8年ってとっても長いんだよ。十分過ぎる年月なんだ。僕は2京ちゃんの良いところしか知らない。大会のための君のアピールポイントしか見ていない。君の悪いところ、癖、思い描く夢のことなんかも、何も知らない。僕はもっと、君のことが知りたいんだ。2京ちゃん。このあと、サイゼリアにでもいってゆっくりお話ししませんか。”

「なんと、、、そして、送信ボタンが押されました。2京ちゃん側は通信機器など要りません、直接受信です。おおっと、やはり、やはり、、沸騰しています、、、なんだ？斎藤選手がコップになにか投げ入れました！」

“それ、沸騰石です。そんなに沸騰しないで下さい。君が見えなくなってしまいます。"

「2京選手。静かに、静かに沸騰しています、、おおっと今度は2京ちゃんがメッセージを送信しました！」

“ミラノ風ドリア、おごってね。”

「なんてことでしょう。こんな展開があり得るでしょうか！！決勝戦で、両者とも試合放棄なんてことが起こりうるのでしょうか！！斎藤選手、コップをもって会場から出ていきます！我々にはもう、どうすることもできない！！

両者、失格！そしておめでとう！
皆さま！お二人に盛大な拍手をーー！！！！！！」

今週のお題「下書き供養」