いろいろ書く

毎週日曜日更新

(物語)IQ193

7:15
さて、今日も私はこの時間ぴったりに家を出るのだ。ああ、靴下を履くのを忘れた。靴下とはなんとも奇異な形状だろう。思えば人の足は不可思議である。毛だまりが中足骨をすべる。ああ、回転運動である。
7:30
それであってしかし回転とはなんたる不可逆性を内在するのだろうか。ああ、家を出よう。戸を開けた刹那私の網膜に虚像ができる。私はこれが苦手だ。サイエンスは因果だ。原因は網膜なのだから、これを取り除けば良い。美しい因果だ。
8:30
新たなプロジェクトに参加することになったようだ。ではまず意義について考察しよう。意義なくして我々の営みは十分な有意性を持たないのだからね。人類史をメンバーに共有しよう。
12:30
史料を編纂していたらもう昼時ではないか。弁当はカヨが作ってくれる。んん?美しいじゃないか。日の丸弁当黄金比を描くとは。この比率は壊せないね。今日は昼御飯は諦めよう。
15:20
上司が私に交感神経を優位にしていた。赤面していたから、怒号が惚れ気のどちらかだろう。考察しようじゃないか。まず場所と状況と時間の観点を持って整理しなければならない。
16:40
しかしだね、確かに慣性は偉大だよ。しかし初動の消費エネルギーが膨大だ。非効率ではないか。私は今電車を待っているが、このように感情も待ち合わせできるものであるだろう。私の上司はいつもギリギリで走りこむ気性なのだろうか。
16:43
そろそろ電車が来るはずだが。なんと、自販機があるじゃないか。これは面白い。金銭装置。導入された通貨の真偽判断や金種判別を行い金額を計数、必要に応じて釣り銭を排出する。やれやれ。電車は行ってしまったようだ。
19:10
カヨ。今日はどうだい?だめかい。私のテストステロン値はもうそれは2週間前から高水準だよ。 
20:10
カヨ。どうしてもだめかい?
21:10
私はもう寝ることにするよ。ああ、痛い。小指をカヨの部屋の戸にぶつけたようだ。この引き戸は水平方向の移動だがしかし、ドアであれば、扇型を描くね。
21:20
ああ、すまない。そんなに戸を開けたりしめたりしていたかい?
22:00
眠ろう。そうか暗闇とは何も見えないのだ。何も見ていないことを自覚した私はもはや暗闇を見てしまっている。本質的に物質的遮りから私は逃れることなどできないのだね。
22:30
カヨ、、ZnZnZn