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(物語)祝日なのに出勤ですが

「さっさと仕事しろこのタコ!!」
私の勤めている会社は週休2日、福利厚生が充実していて、優しい先輩が多く、アットホームな職場。
そのはずだった。


「本日は面接をよろしくお願いします。」
「はい。では自己紹介から。」
「狂徒大学から来ました。工藤信二です。」
「信二くんね。まずは、私たちの会社に入社を決めてくれてありがとう。」
「ん?いえ、まだ決めたわけでは、、」
「いやいや信二くん。行動には責任が伴うんだよ。こうやっていま私とあなたの大切な人生の時間を使って、面接をしている。」
「ですから、まだ面接です。」
「信二くん。それは違う。大人の世界を君は知らないだけだ。まあよい、しかし君は本当にラッキーだね。」
「ラッキー、、ですか?」
「面接は何社も受けるもの、なんて変な噂があるけど、そうやって騙されちゃった学生が、練習がてらに行ったよく分からない1社目の面接で困惑して、そのままそのよく分からない会社に入ってしまう。なんてことがよくある。しかしだね信二くん。君はラッキーだ。うちの会社は、ホワイトなんだ。」
「そ、そうは言いましても、やはりいろんな会社を受けなければ、ホワイトかどうかの比較さえできませんし、、」
「信二くん。私は失望しているよ。君は狂徒大学出身だろう。優秀なはずだ。なぜ大人の世界を理解できないのかね。」
「大人の世界というのは少し曖昧すぎます。」
「信二くん!!!!!!」
「は、はい!」
「分からないかね!!私の大切な時間と、我が社の労働力を削っているんだよ?!私の娘は今日誕生日だ!明日には他社への重要なプレゼンを控えている!」
「そ、そんなこと言われましても、、」
「あまりにも君の行為は無責任だよ。まだ大人の世界が分からなくともいいが、ただ、様々なことを削ってここにいる私とあなたという関係は、十分に理解しなければならない。」
「私が間違えているのですか、?」
「いいや、君はなにも間違っていない。どこからか聞こえてきた噂に乗せられてしまっただけだ。本当に悪いのは、その噂を流した人物だよ。だからこそ、君はラッキーなんだ。うちの会社は週休2日、福利厚生が充実していて、優しい先輩が多く、アットホームな職場なんだよ。」
「、、、週休2日を謳っている会社は疑え、と教授に言われたのですが、、」
「信二くん。よく考えてみなさい。面接は何社も受けるものとかいう噂を言っているのは誰かね?」
「教授です、、」
そんな人が就活に関して正しい知識を君に教えてくれるとでも?」
「で、ではなぜ教授はそんなことをするのでしょうか!」
「彼らはね、ここで言うとこのような言葉もホワイトの心地よい風によってすぐ飛んでいってしまうのだが、つまり、ブラック企業。これと組んでいるんだ。プラック企業に自ら入るバカなどいない。だから、入社させるには自分がバカだと気づかせないことが大事なんだ。つまり、教育機関でプラック企業に有利なことを教えるとかね。変な噂を流して、学生に1社目は適当な会社を選んでいいだろう、と油断させるのさ。そうやってブラック企業は人員を確保して、かわりに教授は研究のための資金を企業から貰う。こうやって学問と社会の移行に際して、交わされている関係があるんだよ。」
「そ、そんな、、僕は今まで騙されていたんですか、、」
「信二くん。君は素直だ。そして心優しい青年だ。私はそんな君を、この社会の荒波から救ってあげたい。本当に、1社目がうちの会社でよかった。」
「う、うっ、、、、」
「君は選ばれた。私と、我がホワイト企業とともに、一緒に働こう。」
「はい!!」


「我らの燃える1週間〜月月火水木金金〜♫」








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