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(物語)トンデモ科学部の先輩 7

ガラガラ

「あれ、先輩。今日からテスト期間で部活はできないって担任から言われたんですけど、私日付勘違いしてます?」
「日付は合っているよ。私は定期テストなんぞに労力を使いたくないだけだ。君の方こそ、なにしに来たんだ。手伝ってくれるのか。」
「この前の実験の時に使った定規そのままにしてて、それを取りに来ました。あと、手伝いませんよ。私は勉強ちゃんとやるので。あれですか、先輩って勉強しなくてもいける人ですか?」
「そんな訳ないだろう。勉強しなければテストで点は取れない。そんなことも分からないのか。」
「いや知ってますけど、、もしかしたらって思っただけです。単位とか大丈夫なんですか?」
「1年の頃に催眠薬を開発したんだ。教員に飲ませてどうにかしてる。」
「さ、催眠薬、、」
「君が入部した時も、意図せず効果を発揮した。」
「は?」
「冗談だ。」
「ほんとですよね、冗談ですよね?」
「どうした?」
「いやいや、ほんとに冗談ですよね。信用問題に関わるので。」
「まあ、、意図せず君が服用しない限りは、使っていないと言えるだろう。」
「えっと、、使ってないんですよね?」
「意図的には使ってはいない。」
「なんか誤魔化してません?」
「あの時催眠薬の改善を試みて部室内には白煙が生じていて、それを君はおそらく吸引した。」
「、、ああ、、あの時確かに白煙が、、いやでも、私ハンカチで鼻と口覆ってましたし、本当にあの時はもうこの部活でいいやってなっただけだから、、?もしかしてその感情がコントロールされたものだった、、?」
「分からない。だが催眠薬といっても、メカニズムは酒と同じだ。より自分の気持ちに正直になれるというだけだ。」
「、、そうだとすると、先生に催眠薬使って成績が良くなるって変じゃないですか。」
「この学校で成績不振による留年や退学は一度も起きたことがない。その実績を守りたいのが彼らの本心だ。」
「ああ確かに、、入学説明会の時に理事長がそんなこと言って自慢していた気がします。」
「まあ、その分彼らは別の理由をつけて退学させようとしてくるんだがな。ああ、だからつまり、安心したまえ。催眠薬は君を後押ししたまでだ。」
「そうですか。よかったです。」
「九条、このビーカーをよく混ぜておいてくれ。」
「いや、私もう行きますから。それと、今はなんとかなってるかもしれませんけど、将来絶対後悔しますよ?」
「君は分かってないな。学校のような広く浅い勉強はやりたいことを見つけるためにすることだ。」
「だからなんですか。」
「そして私は科学の道を選んだ。その他のものに縛られていられるほど、人生は長くないということだ。」
「まあ言いたいことはわかりますが、だったら理科系はいつもいい点取ってるんですか?」
「当たり前だろ。日頃から私はこうやって勉強しているじゃないか。」
なにも言い返せない、、
「まあただ、、トンデモ科学部という名はよく言い得ている。」
「え?」
「私のやっていること、言っていることは似非科学に過ぎない。いいや、活用の幅を利かせようとすればするほど、それ以前の問題になってくる。だから私は学ぶんだ。真の科学を身につけるためにね。」
なにそれ、、なんかかっこいいのがむかつく。ずるいっていうか、なんていうか。
「いやでも、なんか崇高なこと言ってる割に勉強するって言ってる私に実験手伝えとかなんか自己中心的じゃないですか?」
「知らん。」
はあ、、
「まあいいですよ、私も実験手伝います。せっかく部室まで来たんだし。」
「そうか。」
「今日はなんの実験やってるんですか?」
「媚薬を作ってみようと思ってな。」
「は?」
「ん?」

ヘブッ






次回「淫乱!」
お楽しみに。