いろいろ書く

毎週日曜日更新

(物語)美幸ちゃん 6

「ウィゴーほんと最高ね!」
「そうだね!ここの店の服はどれも刺激的で個性的な若さを感じるよ。お、、?あそこにハニーズがあるぞ!」
「あら!もう次から次へと止まらない!!」
「ははは、いいかい美幸、とっておきの情報だ。あそこは昨日ちょうど最新作が出たんだよ!」
「えええ?!この前も出たばっかりでしょ?!」
「そうなんだよ僕もびっくりしたんだ!インスタグラムで今朝見たのさ。」
「やだもうお金なくなっちゃうわー!」
「大丈夫だよ。奢ってあげるから!」
「え!ほんと?!うれしい!!」






「なんか、辰雄といるとショッピングが楽しいわ。」
「それは良かった。」
「うん、楽しすぎる。楽しすぎるのよね。ほんと前の彼氏とは大違いよ。彼ったら服のブランドはユニクロ以外知らなかったのよ。」
「おいおいそんな奴いるのかよ。」
「でしょ。おまけに機械オタク。いや、筋トレオタク?もうよく分からないわ。とにかく、いっつも私に反発してくる人だったわ。肯定のひとつもなかった。」
「僕は君を肯定するよ。」
「うん、、ありがとう。次は、、スタバとかどう?」
「お、いいね!」
「ふふ、もっとあなたの行きたいところ言っていいのに。」
「なに言ってるんだい。僕もちょうどスタバに行きたいと思ってたところさ。」
「あなたって、ほんとイエスマンねー?」
「、、!」





「美幸と初めて会ったとき、あれは衝撃だった。」
「そうね、私もびっくりしたわ。気づいたら見ず知らずのあなたの家のベットの上にいたんだもの。」
「ははは、人聞きが悪いな。」
「えへへ。」
「あの日は、僕は友人達と川沿いでキャンプをしてたんだ。それで、、その川は、ええと、高田橋がかかってる、、なんて川だっけ。」
相模川ね。」
「そうだ、相模川。君が上流からどんぶらこどんぶらこってね。」
「桃太郎みたいね。」
「桃だったらワクワクしたけど、流れてきたのが人間だったからな。ほんと恐怖だったよ。」
「ははは、あの時助けてくれなかったら、私たぶんこの世にいないわ。」
「そんな軽く言うもんじゃない。」
「ごめんごめん。」
「でも本当に、よかった。僕らの出会いにもなったわけだからね。」
「うん。」
「ずっと聞きたかったんだけど、でも聞くべきじゃないのかなって思ってて、、」
「なに?」
「どうして川に流されてたの?」
「」
「ええと、言いづらいことだったら言わなくていいんだけど。」
「飛び込んだの。」
「、、やっぱり、そうなんだね。」
「彼氏に逃げられたから。」
「え、」
「重いかな。」
「い、いや、、そんなことないと思うよ。僕には君とその彼氏の関係もどの程度だったのかは分からないし、、君がひどい仕打ちをされていたことだってあるかもしれないし、、」
「あなたってほんと優しいね。」
「」





彼が優しくしてくるほど、私はどんどんだめな私を、そのままにしてもいいと勘違いしてしまうの。違うよ。私重いのよ?もっとぶつかってきてよ。反抗してよ。ごめんね、、悪い人じゃないのにね。悪いのは、私なの。ああ高田橋、、だめ!だめ!だめ!お願い私、これ以上私を悪者にしないで!!お願い、お願い、、








次回の美幸ちゃんは「ごめんなさい」です。
お楽しみに。