(物語)トンデモ科学部の先輩 14
なにが起きたのか。
先輩は手にライトを持って、不思議な光線を私に浴びせてきたのだ。
「なんですか、、それ。」
「涙腺崩壊光線だ。これで君の涙腺の機能を停止させる。」
「涙腺崩壊の意味がなんか違うんですけど、、」
私の気持ちに答えているかのように、外も雨が降っている。
「梅雨の時期だ。雨ばかりでは堪えてしまうな。」
「そうですね。」
「九条財閥は天候を変えられないのか?」
「一度ジェット機で水分撒き散らして雨を降らせたことはありましたよ。」
「なるほど、、だが晴れにするのはどうだろう。水分をどう回収するかが難しい問題だな、、」
ふと先輩はリスみたいな顔をして、涙腺崩壊ライトを空に向けた。
「だめか、、」
そりゃそうだろ。
「そのライトの原理ってどうなってるんですか?」
「対象を帯電させるんだ。それによって正常な機能ができなくなって、、」
先輩の言ったことに絶句すると共に激しい閃光が空に光って、、
「ゴローーン!!!」
「時として帯電した空と地面との電位差で雷が発生する」
「ええ、、と、私はいま大丈夫なんですか?」
「目元はピカチュウだな、、へぶっ」
ぶん殴ってやった。なんかすっきりしたかも。
「はぁ。先輩、梅雨ですけど、今日も研究頑張りましょ。」
「ああ。いや、君は帰ってくれ。君の周辺は危険で仕方ない、、へぶっ」
わだかまりが少しずつ消えていく。拳から発散されていく。溜め込んじゃだめなんだなって当然のことを思う。雨みたいにどっかで放出しないと、普通じゃない。
「先輩、そのライト貸してください。」
「君に扱える品物じゃない。」
先輩の腕を掴んで強引にライトを奪い、スイッチをオンにする。ん?
「バカそこはプラスとマイナスの切り替えだっ!」
取り返そうとする先輩を振り切って今度こそ電源ボタンを押す。
「くらえ!!」
先輩の目に直撃した。すると先輩は諦めたような顔になって、なにやら呟き始める。
「君はとんでもないことをしたよ、、さっき私は言っただろう。電位差で雷が、、」
閃光と共に激しい音が聞こえる。
「ゴロロローン!!!ゴローーン!」
雷が私と先輩の目線の間で発生した。距離が近すぎるのか、常時雷が起きている。ハリーポッターの杖光線のバトルみたい。ちょっと生暖かいけど、割と目は大丈夫かも。テンション高くなってきた、、!!
「どうですか先輩!異次元バトルです!」
「これじゃあまともに研究ができないじゃないか、、」
悲しそうな顔をするが、その目は眩く光っている。
「ほら、郷ひろみも言ってましたよね!視線のレーザービームで〜おーくせんまん!おーくせんまん!!」
「元気になったのはいいが、、、ちょっとうるさいな。」
「なにがですか?ほら!おーくせんまん!」
「おーくせんまん、、。」
つづく