いろいろ書く

毎週日曜日更新

(物語)美幸ちゃん 5

「おいしい?」
「まあまあね。あまりパスタは好きじゃないの。」
「そっか。」
「急に連絡取れなくなったから、心配したのよ?」
「ごめんごめん、ちょっと友達がヒステリックなやつでさ。色々あったんだよ。」
「ほんと、君ってふしだらな子ね。」
「ん?」
「女でしょ。」
「」
「いいわよ、慣れっこだから。」
「勘違いしないでくれ、君だけは特別だよ。友江。」
「あらそう。うれしいわ。」
「ねえ、このあとなにする?」
「そうね、、あなたの好きなことしていいわよ。付き合ってあげる。」
「いいの?じゃあ、、デパート行きたいな。電化製品コーナーをチェックしに行きたいんだ。」
「ふふふ、かわいい。」
「え?はは、やめてくれよ恥ずかしい。」
「そういうところよね。捨てられない。」
「ん?なにが?」
「あなたは愛らしいクズってことよ。」
「えええ、、なんか嫌われることした?」
「はやく行くわよ。数多の電化製品が君を待ってるわ。」
「あ、うん!」





「倒れるだけで腹筋が鍛えられる、、!!」
「あら、例のcmのやつね。倒れるだけで?」
「腹筋ワンダーコア!!」
「これって電化製品なのかしら。このコーナーに置いてあるのちょっと変じゃない?」
「店は男の趣向をよく分かってるのさ。」
「へぇ。」
「ちょっとやってみようかな。倒れるだけで、で、、うっ、、」
「起き上がれてないじゃない。ただ倒れるだけね。」
「うおぉぉぉぉーー!!!ワンダーコアァァ!!!」
「はい、よくできました。」
「ふぅ、これはあんまり良くないよ。あのcmはフェイクだ。」
「そうね、フェイクね。」
「、、なんだか、ここに来ると昔付き合ってた女性を思い出すよ。」
「なに、嫉妬させたいの?」
「いやいや、そういうわけじゃないよ。むしろ逆だよ。電化製品コーナーに来るたびに喧嘩してたんだ。全くひどいもんだよ。」
「楽しそうなカップルって感じするけど。」
「どうだか。電化製品をいじってる俺に隣の洋服屋から服ぶん取ってきてさ、試着が嫌でも服合わせだけはさせて!だから動かないで!とか言われて、そうこうしてるうちに洋服屋の店員と電化製品コーナーの店員どっちも集まってきちゃって、もう大騒ぎになったことがあったよ。それなのに、あいつはなんの悪びれもなく棒立ちしてるから、俺が平謝りさ。」
「」
「どうした?」
「前から思ってたけど、あなたってその人のこと、本当に楽しそうにしゃべるよね。」
「あ、ええと、、ごめん。」
「大丈夫よ。いまは私の隣にいるんだもの。」





美幸、、今頃どうしてるんだろうな。俺がいなかったらあいつ、どうやって生きていけるんだろう。もう男はできたのかな、、高田橋、あそこからみる花火は最高だった。美幸との思い出の場所。立ち寄ってみようか、、いやいや。俺は奔放に生きすぎている。人の心を左右させといて、きっとそれに対する責任感がなさすぎるんだ。ああ誰か、俺を裁いてくれ。じゃないと、俺はまた、、




次回の美幸ちゃんは「優しいね」です。
お楽しみに。