(物語)トンデモ科学部の先輩 11
西日が差し込む部室、相変わらず野球部の掛け声がグラウンドから飛び込んでくる。
「あーあ、結局好きって言えなかった。」
フラスコがプリズムみたいに分光してる。
「っていうか、私は先輩のこと好きじゃないし、、、はぁ。」
いいなあ光って。粒子と波の狭間で、曖昧でいられる。あれ、なんか先輩みたいなこと言っちゃった。こわっ。
「あー!!!光になりたい!」
ガラガラ
「光に、、なりたいと言ったな?」
「言ってないです実験台はやめてください。」
「光は粒子性と波動性の性能を持つ。これは以前教えた通りだ。スレッドを通ると波動性が確認できるが、その根拠を表す縞模様は紛れもなく粒子の集合体で成っているんだ。要するに、波動は分解すれば粒子であるのかもしれないんだ。であれば、人間を粒子に例えて人間波動をつくることもまた可能であるということが量子物理に要請され、、、」
「ふーん。じゃあ、、、やってみて下さいよ。私のこと、実験台にして下さいよ。」
「、、、!」
「ほら、命に補償ない実験ですけど、好きにすればいいじゃないですか。」
「この実験は、、そうだな考察がもっと必要だからやめておこう。」
「どうして?」
「だれか、、ええと君に友達はいないのか。」
「前園さんなら。」
「その子を使おう。」
「どうして私を使わないんですか?」
「気分だ。」
「気分、、?どっちみち人間波動つくるなら前園さん1人じゃ無理ですよ。」
「では前園一家で波動をつくる。」
「意味がわかりません。」
「とにかく、君では光の粒子性を再現できない。
「ですから、、どういうことですか?」
「君に言っても分からんだろう。早く前園一家を騙して連れてこい。」
「いつも小難しいこと言ってるじゃないですか!どうして今日だけ、、」
ガラガラ
「慎二くーん?」
誰だっ。先輩の下の名前を気やすく、、!!
「美香、、なんの用だ。」
なんという、ナイスな、ばでぃ、、
「相変わらず無愛想ね〜、一緒に寝た仲じゃない。」
っ!!!!せんぱっ、、せん、、
「やめろ、昔の話だろう。」
「そう言わないでよん。久しぶりに元カノちゃんに会ったんだから、もっと喜んでもらわなきゃ、私泣いちゃうよー?」
先輩の、、元カノっ!!!!
次回「先輩ってそういうひとが好きなんだ。へぇ。」