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(物語)トンデモ科学部の先輩 2

プリンをもらいに部室前まで来たのだけれど、なんだか怪しい白煙が扉から漏れ出ている。帰ろうかな、、いやいや、プリンのためっ!

ガラガラ

「あのー!すみません!」
複雑な理科実験の器具の前で、しかめっ面をしている例の男がいた。とりあえずハンカチで口と鼻を押さえながら近づいてみる。この煙は害があるのだろうか、ないのだろうか。
「あの、、」
「なんだい、、ああ君か。」
「プリンをもらいに来たんですが。」
「プリンか、、、部費で落とせるかな、、」
「そんなわけないでしょ。」
「とりあえず、そこのテーブルにA4の紙があるだろう。そこにサインしてくれ。」
「、、?」
「ほら、はやく。」
おもいっきり入部届って書いてあるし。
「ここってなに部でしたっけ。」
「論理論考実験科学部だ。」
「であればもうちょっと論理的に交渉して下さいよ。まあ、入る気ないですけど。」
「ほう、、」
「私は普通の女子高生として、友達と放課後遊んだり、交換日記したり、部活で一緒に汗流したりとかしたいんです。」
「今言ったこと全て、君には向いていないよ。」
「は?あなたになにがわかるんですか。」
「なぜなら、君には友達がいないから。」
うわっっ、、なんかすごく胸が痛い。
「と、とにかくプリン貰えないならもう私行きますから!」

ガラガラ!

はぁ、全くなんなのよ。ん、、?あの子たち、同じクラスの、、よし、今日こそ!
「あ、あの。」
「ん?あ、九条家のお嬢様!」
「そ、その、部活なににしようとかもう決めてるんですか、、?」
「私は中等部の頃からずっとバスケットボールをやっていたので、高等部でも続けるつもりです!お嬢様は?」
「あ、、ええと、、私はその、まだ、、」
後ろから廊下を走る音が聞こえてくる。
「おーい、なつみー!!早く部活行こうぜー!!」
「あ、さなちゃん、いま九条家のお嬢様とお話ししてて、、」
「九条、、?ああ、あの財閥の、、、」
「あ、いや全然私のことはいいですから、その、、部活行って下さい。」
「で、でも」
「はやくいこーぜ。」
「ええと、じゃあ、失礼します。」
「は、はい。」
「、、、なんであんなやつと話してるんだよお前。」
「え、、?」
「お堅いお嬢様だそお前には釣り合わねーよ。」
「なんだとー!このー!!」
「おいやめろよー!ははは!!」

キャッキャウフフ

、、、私は急いで白煙の元に戻って、A4の用紙を書き殴った。
「どうせ私なんて、、友達いない寂しいお嬢様よ、!!」
「、、聞こえていたぞ。君、九条って言うらしいな。」
「それがなによ、、もしかしてあなたまで私を省くつもり、?」
「私は君の家のことには興味ないよ。助手の名前に興味があるだけだ。安心したまえ。それに、、省かれ者といった点では私も同じだ。」 
「名前、なんでしたっけ、、」
「松平だ。君の友達のな。」
「、、引っ叩きますよ。」
「え?」
「距離の詰め方全然間違ってますから!なにいい感じにしようとしてるんですか!ばか!」
「え、ええと、申し訳ない。そんなつもりではなかった。」
「先生が部活は入っとけっていうから入るだけですから、勘違いしないでください。それと、早くプリン奢って下さい。それで、ついでに、ほんのついでに、松平先輩、これからよろしくお願いします。」
「あ、ああよろしく。君は、理科の知識はあるかい?」
「私は根っからの文系です。」
「、、、助手は無理だな。お嬢様とか言ってたよな、研究費用のためのお財布係、、」
「はい?」
「なんて言うと思ったか。知識くらいさっさと頭に入れてこい。私は全力で研究をしている。だから君も全力で力を貸したまえ。それは時に金の力かもしれないが、、知識によらず1人人間が増えるというのは可能性が一気に広がる。良くも悪くも私は君に躊躇しないよ。つまり、君は助手であり財布係だ。」
「そうですね、、そのくらいはっきりしてもらったほうが新鮮で私としては嬉しいです。ただ、財布ってのはかなり気に触ったので1発殴らせて下さい。」
「はい?」

ヘブッ

「先輩だろうが、私も躊躇しませんから。」
「よ、よろひい、、、」
「そういえば、マーフィーの法則ってどうなったんですか?」
「あぁ、あの子は退学した。」
「え?」
「理由は分からん。しかしいずれにせよ、実験は失敗だ。」
「そうですか、、」




そうして私はトンデモ、、じゃなくて論理論考実験科学部に入ることに決めたのでした。私の高校生活、不安しかありません。一体私はどうなるのー!



次回「文化祭!」
お楽しみに。