いろいろ書く

毎週日曜日更新

(考察)嗜好はいつ形成されるのか

今週のお題「575」 
俳句を作りたくなるとか、風流を感じたくなるとか、そういった日本人としての背負うべきものがわびさびであるとしたら、我々個人として、背負うべきものは嗜好ではないだろうか。好きとか嫌いとか、これは私たちの行動を大きく変える。本稿では、それらの重要な嗜好はいつ形成されるのか、これを考察する。まず個人的な話をして、そこから帰納させて答えを考えていきたい。

ここで告白しよう。
私の嗜好(人に対する)はすべて「ふたりはプリキュア」からきている。

ふたりはプリキュア」とはいわゆる元祖プリキュアのことであり、再放送も多くなされた伝説的アニメである。ちなみにプリキュアとは勇敢な少女たちが悪党どもと戦う女児向けのヒーロー作品のことである。

タイトルの通り、主人公は2人いる。「ブラック」と「ホワイト」である。
f:id:sio303:20210612222031j:plain
左、ブラック  右、ホワイト
ちなみに、ブラックは私の初恋の人である。見始めたのは、姉の影響であったと記憶している。朝起きるのが苦手だった私は、親にいつも「「ふたりはプリキュア」がテレビでやってるよ!」と言われて飛び起きていたものだ。朝にやっていたか夜にやっていたか、もう覚えてはいないが、少なくとも親の言っていることが嘘だと分かっていた上で、微かな可能性にかけて重い体をいつも起こしていたはずだ。

なぜブラックが好きだったのか。今の私には分からない。それに、どちらかと言えば今はホワイト派である。だがいずれにせよ、このとき、私の歴史が動いたのである。

幼少期から人間の認知はより抽象的になっていく。ブラックからかっこいい、頼れる、ちょっとアホ、ショート、といった抽象化が行われた。と私は踏んでいる。実は、知的、大人っぽい、清楚、ロング、といった抽象化も行われている。つまり、ホワイトも私の嗜好に介入しているのだ。どういうことかといえば、私にも確かなことは分からないが、幼少期に受ける影響というのは物を選ばない壮絶さがあるというか、物と物の輪郭があまりはっきりしないまま影響を受けたのではないかと考えている。つまり、私が影響を受けたのはブラックというより、「ふたりはプリキュア」であるのだ。

これらの性質を組み合わせると、全ての私の恋の遍歴が実に「ふたりはプリキュア」的であったことに驚かされる。ここで3次元の話をするとまずいと思うので、2次元で適応してみようと思う。

以下にいいなあと思った2次元のキャラクターを列挙してみる。ただし、いくつかはキャラクターのみを知っており、その作品自体は全く知らないので「こんな性質は持っていない」と言いたくなる人もいると思うが、それは申し訳ない。
・マーニー(思い出のマーニー
 頼れる、清楚、ロング
f:id:sio303:20210612230214j:plain
・ペトラ(進撃の巨人
 かっこいい、大人っぽい、ショート
f:id:sio303:20210612224534j:plain
・浅倉透(アイドルマスター
 ちょっとアホ、かっこいい、ショート
f:id:sio303:20210612224538j:plain
自分でやっていて気持ち悪くなってきたのでもうやめる。ひとつ言いたいのは、決してこれらは都合よく引っ張ってきたわけではないということだ。

一つここで、疑問が生まれる。「「ふたりはプリキュア」の嗜好のカバー率が高いだけでは?」

これはたしかにあり得る。そもそもショートとロングどちらの性質も使えるのだから、全人類、キャラクターに対してこれを主張できる。このほかのいくつかに対しても同じようなことが言える気もする。しかし、もしそうであれば、その後のプリキュアシリーズで主人公の人数が増えていったのは何故だろうか?私はこれは、人々のあらゆる嗜好をカバーしたいという制作陣の傲慢さの現れであったと思えてならない。それに対して、私はこの「ふたりはプリキュア」にすっぽりと収まっているのである。これは、嗜好形成の時期がまさにこの時期であったと言える証拠ではないだろうか。

つまり、親に朝起こしてもらうくらいの年齢に、人間の嗜好は形成されるだろう、ということである。

これを利用すると、ある謎が解ける。
「なぜ子供はカレーが好きなのか」 
子供はすべからくカレーが好きである。子供は、という条件を一旦外して考えると、つまり料理を楽したい親が、手間のかからないカレーばかりを作るために、いつの間にか「カレーが好き」という嗜好が形成されたのである。(嗜好形成は物を選ばない)ではなぜ大人になるとそうでもなくなるのか。単純に他に美味しいものを見つけるからである。一番好きな料理でカレーをあげる人は少なくなる。私も一番好きなアニメは?と聞かれて「ふたりはプリキュア」とは答えない。(もちろん答えたくもないが)しかし、カレーをだされて嫌な顔をする人はあまりいない。このように、私たちの内側には幼少期の影響がはっきりとこびりついており、私たちに作用しているのである。

あなたも、幼い頃にやっていたことを思い出して、書き出してみてほしい。それらのいくつか、あるいはすべては、今のあなたにまで、一本筋を通しているだろう。我々には意思がある。しかし、その意思は嗜好に左右される。嗜好は、幼少期に形成される。つまり、大概の我々の為すことは幼少期に決まっていた、と言えるのかもしれない。


R18は躊躇しました
次回は(物語)です
お楽しみに